今回は、企業が問い合わせフォームを利用して新規参入客や顧客を獲得する手法である「問い合わせフォーム営業」について解説します。 今現在、コストを抑えて営業活動が可能な手段として、注目されています。本記事では、フォーム営業の仕組みやメリット、注意点、進め方などについて、筆者の実体験も含めて詳しく説明しています。
フォーム営業とは
フォーム営業とは、企業のお問い合わせフォームに対してメッセージを送るという主にBtoB営業において用いられる手法です。手紙やアウトバウンドコールとは異なり、紙や調達するコストや人的コストを抑えられ、反応が得られやすく、効率的だとされています。そのため比較的負担が少なく、新規顧客の開拓にも有効な手法です。
セールスレターをフォームに打ち込んで送信する方法が、一般的となっています。お問い合わせフォームでの営業は、Eメールやテレマーケティングよりも反応率が高いという調査結果もあり、注目されています。
目次
フォーム営業のメリット
メールマーケティングや郵送DMと異なり、フォーム営業のメリットにはどんなことが挙げられるでしょうか。メリットをいくつか挙げてみました。
反響率が高い
1つ目は、反響率の高さです。
マーケティングリサーチ業務などを手がける「Future Search」の調査によれば、Eメールやテレマーケティングといったアプローチ手法よりも、問い合わせフォーム営業は反響率が高いという結果になっています。
アプローチ手法 | 反響率 |
Eメール | 約0.5% |
テレマーケティング | 約0.5〜3% |
郵送によるDM | 約0.3~0.8% |
FAX DM | 約1.5% |
問い合わせフォーム営業 | 約3.5% |
問い合わせフォームは企業にとって顧客や取引先との窓口となります。そのため、必然的にフォーム営業は、メッセージを開封される可能性が高くなります。また大きい企業や古い企業であればあるほど、問い合わせフォームに届いたメッセージに対して必ず返信するルールを設けている企業もあるため、お断りのご連絡であっても反響率が高くなる傾向があります。
担当部署・決裁者にアプローチできる
「○○○部ご担当者様へ」と一言加えるだけで、
テレマーケティングや郵送DMとは異なり、Web上でアプローチができるため、比較的簡単に担当部署へ内容を転送いただける可能性が高くなります。手紙の場合、担当部署まで回すのに時間がかかったり、途中で捨てられてしまう可能性があったり、テレマーケティングの場合は、繋がりたい部署まで繋げていただけなかったりする場合が多いです。また、中小企業では役員や部課長クラスが問い合わせフォームの情報を閲覧しているケースが多く、決裁者へのアプローチが可能です。
フォーム営業のメリット
コストが抑えられる
手紙や郵送DM、FAXDM、テレマーケティングなどと比べて圧倒的にコストが抑えられます。紙の仕入れコストであったり、DMの準備、そもそも人的コストなどかかります。
営業手法 | 送付代 | 材料代 | 人的コスト | 反響率 |
---|---|---|---|---|
Eメール | 小 | 0.5% | ||
テレマーケ | 大 | 0.5~3% | ||
郵送DM | 大 | 大 | 中 | 0.3~0.8% |
FAXDM | 中 | 1.5% | ||
フォーム営業 | 中 | 3.5% |
郵送やFAXを行う場合であっても、封入作業を人が行わなければならず人的コストもかかります。少ないコストで大きな効果を得られるのは、「フォーム営業」だということがなんとなくわかるのではないでしょうか。新規事業やスタートアップ企業では、人的リソースやお金、時間が限られることが多いです。ターゲットによっては、FAX DMも駆使しながら、フォーム営業で新規開拓を行ってみるのが良いのではないでしょうか。
フォーム営業のデメリット
メリットについては、よくわかりました。それでは、フォーム営業のデメリットにはどんなことが挙げられるでしょうか。デメリットもいくつか挙げてみました。
平日の日中の時間帯が取られる
フォーム営業の場合、人的コストは郵送DMと同じぐらいの作業量が必要になりますが、郵送DMとは異なり、平日夜の時間帯を使うことができません。リアルタイムでの配信がマストになってくるため、フォーム営業は平日の日中の時間帯に作業を行う必要があります。
せっかくのお電話やメールなどの顧客との接点を取れる時間帯にも関わらず、フォーム営業の場合は日中、ずっとフォームに送信し続けなければならない、というのがデメリットの1つと言えるでしょう。
クレームにつながるリスク
また、企業の中には、問い合わせフォームでセールスレターを受け取ることに好印象を持たない会社もあります。
特に、通常のお問い合わせフォーム以外の顧客専用フォームやパートナー協業用フォームなどに対して、フォーム営業をかけた場合や、「※営業お断りです」という文言が記載されている場合はクレームにつながることもあります。また、カスタマイズをすることなく、先方のサービスを特に調べていないような、定型的なセールスレターが届くことも、企業のイメージダウンに繋がる可能性もあるため、注意しましょう。
このようにSNS上で、是非が問われることも多いのが問い合わせフォーム営業サービスです。筆者も実際に顧客よりクレームを受けたことがあるので、やり方を考えながら進めるのが良いでしょう。
フォーム営業の実施ステップ
では、フォーム営業はどのように行っていくのでしょうか。ここでは、やり方の解説を行います。もしみなさんも行うことがあれば、参考にしてみてください。
1.アプローチ対象企業の選定
まず、フォーム営業を行うアプローチ対象企業を選定します。
自社にあった業種・セクター・製品でターゲットを絞り込むことが重要です。無作為に企業にアプローチして、見込客を見誤ってしまうのは効率的ではありません。既存の顧客と業界やセクターが似ている企業や、挨拶はしたもののまだ取引をしていない企業を選択して、貴社の潜在的な顧客を選定してみましょう。
2.送付文書を作成
送付対象の企業業態に合わせて送付内容のカスタマイズが必要です。大まかな流れは共通にするため、事前に送付フォーマットを作成することが効率的でしょう。
また、送付文書の骨格は、「自社紹介」、「why you now」、「メリットや導入実績」、「今後のアクション」についての4つの要素で構成するのが通例です。
3.実際に、フォーム営業を行う
送信内容が決まったら、お問い合わせフォームへの入力・送信を行います。
送信の際は、会社情報が正しく記載されているか、宛先に誤りがないかを必ず確認してください。特に書式をコピー&ペーストする場合は、企業ごとに変更すべき部分が適切に変更されているかを確認することが重要です。
4.お問い合わせへの対応
送信後は、あとは受信者からの返信を待つだけです。反応がある場合は、できるだけ早くアプローチすることが重要です。フォーム営業に反応した企業は、購買意欲が高い可能性があるため、事前に具体的なニーズや予算、納期などを確認してアポイントを調整することで、その後の商談の受注確度を高めることができます。
送付文の例
上記、「2.送付文書を作成」で作成した文書の事例をこちらに記載してみます。もしよろしければお使いください。4つのポイントについて記載したものになりますので、コピーしてお使いください。
○○のご担当者様へ 問い合わせフォームから突然のご連絡となり、大変失礼致します。 私、○○株式会社の□□と申します。 今回、貴社HPを拝見しご連絡差し上げました。 貴社HP上の「★★」という記載の部分に関して、弊社が提供する○○がお役に立てるのではと思い、 フォームからご連絡させていただきました。 今から「★★」の準備をお手伝いさせていただくことで、貴社の経営理念である「△△」の実現ができるのではないかと考えております。 弊社の提供する「○○」をご利用いただくことで、最大50%の業務負荷を軽減し、 貴社事業の利益率を向上させることが可能です。 現在、貴社の同業他社様である、「□□」様や「●●」様など累計100社様以上にご導入いただいております。 一度情報交換の機会を頂けますと幸いです。 <日程候補> ・〇月〇日(〇曜日) 9:00~15:00 ・〇月〇日(〇曜日) 10:00~15:00 ・〇月〇日(〇曜日) 15:30~17:30 もし上記日程でご都合が悪い場合は、ご都合のつく日時をいくつかご教示いただけますと幸いです。 恐れ入りますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。 ○○株式会社 □□
フォーム営業代行サービスとは
また、フォーム営業を自社で行うことなく、代行していただくサービスもございます。こちらに代行サービスをまとめた記事がございますので、ご覧ください。自動ではなく、人力で代行入力していただけるので、間違うことなく送信が可能です。
紙やテレマーケティングとは異なり、ローコストハイリターンの営業手法なので、代行サービスの活用を検討してみても良いかもしれませんね。
まとめ
問い合わせフォーム営業代行を利用することで、担当者不足を補填し、効率的な営業活動を実現することも可能です。これを機にフォーム営業を検討してみても良いかもしれませんね。
また、新規開拓の営業手段として、手紙営業代行サービスもこちらの記事にて比較していますので、こちらもご関心あればご覧ください。