Sales Tech（セールステック）とは
「Sales Tech（セールステック）」とは、とは「Sales（営業）」と「Technology（科学技術）」を掛け合わせた造語であり、営業活動にITを活用することで、営業活動の作業の効率化や最適化、さらには売上アップを目指すツールやサービスのことを指します。
近年、「Sales Tech（セールステック）」という言葉が日本国内でも徐々に広まり始めています。欧米のスタートアップ企業に始まり、今では世界規模で市場が存在しています。Sales Tech（セールステック）領域は、年々急速に進化しており、拡大している市場です。
2023年現在ですら、4,845億円の規模があると言われているSales Tech（セールステック）市場ですが、2028年には、国内市場規模はに6,314億円に達する見込みと言われています。
なぜSales Tech（セールステック）が注目されているか？
Sales Tech（セールステック）が注目されている理由として大きく2つの理由があります。
人手不足・労働者不足の深刻化
2,000年をピークに、働き盛りの15~60歳の人口が急速に減少し始めています。一方で高齢化率は上昇の一途を辿り、2060年には40%の高齢化というかなり深刻な事態を迎えることが明らかになっています。
1985年のバブルの時代と比べると、2020年時点で1,000万人近い労働者人口が減少しています。しかし、市場は拡大をし続けており、1人あたりの生産性は増加しなければ市場の成長に追いつけません。
そのため、今日本では一人あたりの生産性を拡大することが重要視されており、Sales Tech（セールステック）が注目されているのです。
急速に進む技術革新
オンプレミスからクラウドの普及により、営業情報の管理や活動の可視化が比較的安価に可能になったというのがもう一つの理由です。また、コロナ禍の影響も伴い、急速にオフライン営業からオンライン営業へと舵を切り出したことも一つの要因と言えるでしょう。
オフラインでは取得できなかった営業マンのトークやメモ、電話に至るまで全ての情報を網羅することで、分析が容易にできるようになりました。リモートワークであっても、リアルタイムにお客様の情報を更新したり、分析用のデータを蓄積したりということが容易になりました。
また、2023年代に入りAI技術（Chat-GPTなど）の急速な発展もSales Tech（セールステック）の普及を後押ししていくのではないか、と筆者自身は考えています。
Chat GPTの普及により、インサイドセールスの仕事も徐々に置き換えられるのではないかと言われています。Sales Tech（セールステック）とは異なりますが、技術の発展は産業を大きく変える進歩になります。これを機に営業技術は急速に発展していくかもしれませんね。
Sales Tech（セールステック）の普及による影響
では、Sales Tech（セールステック）が普及していくとどのような影響があるでしょうか。2つ取り上げてみました。
働き方改革や労働力不足への対応
一つに挙げられるのが、労働力不足への対応です。作業が効率化し、営業活動の高度化が進むことで年々減少している労働人口に対して対策することができるようになります。
また、近年ではリモートワークの普及も伴い、いつどこにいてもリアルタイムな情報共有や分析データの共有は必須になってきていると言えるでしょう。
営業能力の改善、高度化
膨大な営業活動の記録を蓄積していくことで、例えば以下のような情報を抽出し分析することができます。
- トップ成績を残す営業マンの1商談あたりの活動数
- トップ成績を残す営業マンのメール文面と回数
- 活躍できない営業マンの商談方法
例として挙げさせていただきましたが、SalesTech（セールステック）ツールの普及により上記データを抽出し、分析することができるようになるのです。トップ営業マンの共通項が分かれば、早速営業チームに情報を共有し、チェックポイントを設けて、徐々に浸透をさせていけば全員がトップ営業マンになれるのです。
Sales Tech（セールステック）の普及により、営業マンに求められるスキル
営業マンとして、Sales Tech（セールステック）の普及によりどのような能力が求められるようになるのでしょうか。ここでは3つほど挙げさせていただきました。
抽象化力
Sales Tech（セールステック）ツールを使い始めると、大量のデータを収集し、共通項を見い出す作業が必要になります。その中で、成果と比例する指標は何かなど細かいデータから抽象化した根拠へと繋げていくスキルが求められます。
- 朝8時に部長に接続し、アポイントの獲得ができた
- 朝9時に課長に接続し、アポイントの獲得ができた
- 朝8時半に一般社員に接続できず、アポイントの獲得ができなかった
例えば上記のようなデータが出てきた時、どのような結論に繋げるでしょうか。かなり大雑把な情報のため、様々な変数がありそうではありますが、朝8時〜9時は部課長クラスの人に接続がしやすいという事実が読み取れます。
例えばこのようなスキルのイメージです。上記のように、Sales Tech（セールステック）ツールを使いこなし、活躍したい営業マンの人にとっては、必須のスキルと言えるでしょう。
ITスキル
ITスキルは、今の時代、トップ営業マンになりたい！人にとっては必須のスキルです。Sales Tech（セールステック）は、データを入れて勝手に分析してくれるツールもあります。しかし、SaaSでの提供になると基本的に汎用化された仕組みのため、自社用に分析データをカスタマイズしたり、項目を自社用に変更したりと、そもそものツールをいじる必要が出てくるケースもあります。
そもそもSales Tech（セールステック）以外にも、昨今では、日常の経費精算や請求書、名刺管理など様々なツールを利用する必要が出てきています。ITツールを使いこなせないようでは、生産性は何倍も低下してしまいます。
そのため、Sales Tech（セールステック）普及により、営業マンにはITスキルが求められると言えるでしょう。
実行力
最後に、Sales Tech（セールステック）を使いこなす上で、最も重要な能力が実行力です。ツールを導入して、分析して共通項を見出し、活躍する営業マンの要素を導き出すことに成功しました。しかし、それだけでは企業の売り上げは何も変わりません。実行して、成功して初めて売上へとつながるのです。
仮設の段階から、仮説検証していくには、一見簡単そうに見えますが、それなりのタフさが求められます。1度で成功することは少なく、繰り返し何度も仮説検証を行わなければなりません。また、仮説検証する工程での実行をチェックする体制の構築や、振り返りを行う体制の構築をする必要があります。
そのため、Sales Tech（セールステック）普及により、営業マンには実行力が求められると言えるでしょう。
Sales Tech（セールステック）の種類
それでは、Sales Tech（セールステック）にはどのくらいの種類があるのでしょうか。以下はカオスマップになりますが、大きくは4つの括りで分けられていると言えるでしょう。
引用：国内版セールステックカオスマップ「2022 Japan SalesTech Landscape」が公開
営業マン向けツール
代表的なSales Tech（セールステック）ツールは、sansanなどの名刺管理や、ベルフェイスなどのオンライン商談ツールに代表される営業マン向けの営業活動の効率化サービスです。
従来の訪問営業型からオンライン型に切り替わりつつある営業活動の中で、作業を効率化し、営業のコア業務に時間を充てていくことで、営業活動を高度化していくためのツールです。
営業管理、Ops、イネーブルメント系ツール
amptalkやMiitelなどは、営業活動における音声データや商談データを分析し、成果との相関関係のあるデータの分析や、商談におけるパフォーマンスを可視化して営業活動をチェックしたりすることが可能なサービスです。どちらかといえば、営業マネージャーやイネーブルメント部門向けのツールと言えるでしょう。
CRM データ加工ツール
CRM上のデータを加工して見やすくしたり、法人データベースとCRMの統合により、顧客情報の分析を加速化させるツールです。
FORCASやMusubuは法人データベースとしての機能と、CRM連携を行う機能があり、それにより業種や従業員数、売上高のデータを同期させることで、業種別の契約率や売上高別の契約率などの分析ができることで、より深い再現性を追求することが可能となります。
また、SALESCOREではCRM上に入っているデータをよりわかりやすく可視化することで、営業活動のプロセスの中におけるボトルネックを特定したり、進捗を確認したりするのに便利なツールです。
CRMツール
言わずもがな、Salesforceやkintoneに代表される顧客管理システムです。昨今でも新しいサービスがどんどん出てきており、より日本国内の商習慣に特化したサービスも出てきているようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
Sales Tech（セールステック）の普及は、我々営業マンの日常を進歩させます。技術革新は、便利になることが増えて良いことばかりに見えますが、一方でツールを使う我々自身もツールを使いこなすスキルの向上や勉強し続けるマインドが必要と言えるでしょう。
また、SalesTechの市場は拡大しています。営業を極めたい、売上を伸ばしたいが故に、ツール導入が先行してしまい、いつの間にかツールの導入が目的となり、売上の最大化が二の次になってしまうと言った、SaaS導入あるあるの状態にもなりかねません。目的を決め、スケジュールを決め、役割や参加者を決めたうえでプロジェクトの進行をしていきましょう。
筆者自身も様々なツールの導入を経験しました。一発で成果が出た！と言えるようなツールはあまりありません。ツールを使う側の不断の努力が成功への鍵と言えるでしょう。
このメディアでは、セールス向けのツールを紹介しています。以下で、手紙営業代行サービスや問い合わせフォーム営業代行サービスについても比較していますので、ぜひご覧ください。
