注目されるインサイドセールス
近年、将来性のある営業手法としてインサイドセールスが注目されています。
コロナ禍のリモートワークの延長に伴い、従来当たり前であった訪問営業スタイルを維持することが難しくなったことで、非対面営業が一般的になってきたことは皆さんも周知の事実のことと思います。インサイドセールスとは、いわば「内勤型営業」のことを言います。
ただ、インサイドセールスを導入する企業が増える中で、「インサイドセールスを、やめたい、辛い、きつい」と言う声も散見されるようになってきました。今回は、筆者の実体験も踏まえながら、インサイドセールスの辛さについて、解説していきたいと思います。
筆者自身も、実体験としてインサイドセールスを辞めたいと感じることは、頻繁にありました。特に私は当時チームを率いていた立場だったので、結果を出さないと事業全体が終わるといったプレッシャーを感じていました。
インサイドセールスが「やめとけ」「辛い」と言われている理由
インサイドセールスが「やめとけ」「辛い」と言われている理由はどんなところにあるのでしょうか。The Model型の組織を採用したが故に起きている問題もありそうです。以下にいくつか思いつく限りピックアップしてみました。日本国内でインサイドセールスが「やめとけ」「辛い」と言われているのには、以下のような理由があります。
上流(マーケ)と下流(営業)との板挟みになる
The Modelを採用したことで、同じ目標を追っているが故にぶつかることも多いマーケ、セールス部門。
セールス
目標MRRの未達は、必要なアポ数が不足していたから、インサイドセールスのせいだ。
アポが少なすぎて、非現実的なリード目標になっている。インサイドセールスがアポを取ってくれないからだ。
こんな会話がよくなされているのではないでしょうか。
インサイドセールスは、TheModelにおける司令塔(ゲームメーカー)的なポジションのため、こういった要求が各部門からなされます。インサイドセールスとしては、戦略家として大きな視点を持って、今起きている事象のボトルネックを特定しにいくようにしましょう。
インサイドセールスは、マーケとフィールドセールスと同じチームです。もしインサイドセールスだけで、ボトルネックの特定までが難しい場合、マーケもフィールドセールスと一緒になって事業の問題を考えるように問いかけてみましょう。
社内の評価が低すぎる
インサイドセールスは、付加価値の低い仕事と感じられていることがまだまだ多いようです。
普段から電話とメールばかりよね。ただのテレアポで、誰にでもできる仕事でしょ。簡単そう。
こういった社内の認識が、業務を行っているインサイドセールスにとっては社内に居づらくなる原因となっているようです。
本来インサイドセールスは、ナーチャリング活動を行うことにより、定期的な顧客との接点を持ち続けることで、顧客体験を引き上げていく仕事です。実態としてはメールやお電話でウェビナーやホワイトペーパー、事例のご案内などの地道な作業になりやすく、他社員からは理解しにくい仕事なのかもしれません。これも、インサイドセールスが「やめとけ」と言われる理由です。
温度感が低い顧客との折衝が多く、モチベーションの維持が難しい
インサイドセールスでは、いわゆるコールドコールやまだまだ温度感の低い顧客にアプローチすることが中心となるため、顧客から冷たい対応をされることが少なくありません。
いらねえよ!(ガチャッ)
約1年前から、いろいろな情報提供をしてきたお客様から、「やっぱり要らないや」などと言われることもザラにあります。せっかく接続して色々ヒアリングできたとしても、「まあ別に困っていないからね。」などと断られてしまうことも多いのです。
こういう対応が仕事の一部ということが分かっていても、やはり人間、冷たくされ続けると精神的な辛さが出てきてしまいます。インサイドセールスにおいては、こういった対応をされるかもしれないという思いを抱えたまま、架電し続けなければならないという部分も「やめとけ」と言われる一つの原因なのかもしれません。
フィールドセールスに比べて、達成感が低い
インサイドセールスのKPIの基本は、アポイント数もしくは、有効商談数になります。
「達成した!」と思ってもその先のフィールドセールスが達成しない限り、事業にとっては何の意味も為しません。
セールス
達成した!(けど素直に喜べない…)
また達成したとしても、アポ数の達成なので、「契約成立」のような100%の達成感を味わうことは難しくなります。営業としてのやりがいが失われているのも、インサイドセールスが「やめとけ」と言われる所以なのかもしれませんね。
インサイドセールスの「やめとけ」「辛い」をなくすには
こういったインサイドセールスの辛さを0に近づけるためにできる対策はあるのでしょうか。以下のようなアプローチで一度試してみるのも良いかもしれません。
- 社内に役割を周知する
- マーケ部門、フィールドセールス部門とのコミュニケーションを密にとる
- 部署異動を提案する
まずは、社内にインサイドセールスがどんな仕事をしているかを認知してもらうことが重要でしょう。付加価値の高い仕事をしているということ、事業部側の中でも辛い仕事をしているということを理解してもらえれば、社内での評価も少しずつ上がっていくのではないでしょうか。
また、マーケ部門、フィールドセールスとのコミュニケーションの部分も量をまず増やしてみてはいかがでしょうか。1週間に1回のコミュニケーションを1週間に2回、3回と些細なことから連携を増やしていくことで、お互いのわだかまりが徐々に取れていくということもあり得ると思います。
さらに、インサイドセールスを他の部署の方に経験していただくという提案を人事部にしているのはいかがでしょうか。社内インターン制度は最近徐々に広まってきています。インサイドセールスが「やめとけ」と言われなくなるのに、一番効果的なのは他部署の方に一度経験をしてもらうことなのかもしれませんね。
インサイドセールスの魅力・将来性
それでは、インサイドセールスの仕事は全く魅力がなく、ただただ「辛い」「やめとけ」と言われるような仕事なのでしょうか。否、そんなことはありません。インサイドセールスにも十分に自慢できる「魅力・将来性」があります。
魅力
- 事業を俯瞰して見ることで、戦略的観点や能力が身に付く!
- キャリアの幅が広く、営業はもちろん、CSやマーケにも転籍が可能
- 市場価値はどんどん上がっており、転職市場では需要過多!
まずは、フィールドセールスとマーケティング部門の間に入り、事業のボトルネックを考えるポジションを経験できる点です。普段からデータドリブンな考え方の元、様々な施策のPDCAを回しているインサイドセールスにとって、事業のボトルネックを考えたり、データを元に仮説立てをすることは比較的容易なことと言えるでしょう。
また、インサイドセールスのキャリアの幅は広く、後工程であるフィールドセールスや、カスタマーサクセス、前工程であるマーケティング部門の知見もあります。またデータドリブンな考え方が身についているので、経営企画室やOpsと言われるようなポジションにも向いているかもしれません。潰しが利くという言い方もできるかもしれませんね。
そして、インサイドセールスを取り入れる企業は年々増えています。そのためインサイドセールスの知見を求める企業は多く、市場には求人が増えています。インサイドセールスの経験があれば、インサイドセールスの「立ち上げ」や「仕組み化」のお手伝いができるかもしれませんね。
まとめ
私自身の経験から申し上げると、インサイドセールスはフィールドセールスとは異なる辛さがあります。私もこの記事と同じような「頑張っても注目されない」「成果が出なくて辛い」と言った経験をしてきました。今となっては、どちらかというとフィールドセールスの方が私には楽だったかもしれません。ただ、あくまでも筆者の所感にはなりますので、実際にやってみたら違った!なんてケースは多々ありますので、ご留意ください。
また、こういった辛い経験が多いかもしれない、「インサイドセールス」に向いている人、向いていない人については、こちらの記事でも記載していますので、ぜひご覧ください。
またインサイドセールスについてより詳しく知りたい方は以下サイトがわかりやすくなっています。ぜひご覧ください。